判断能力を失った人を守る!任意後見と成年後見の違いとメリット・デメリット

判断能力を失った人を守る!任意後見と成年後見の違いとメリット・デメリット(アリスの会 / 任意後見・身元保証 / 名古屋) 任意後見制度

こんにちは。
私たちは、一般社団法人アリスの会です。

私たちの法人では、人々が人生の締めくくりを安心して自分らしく過ごせるようにお一人お一人のニーズに合わせた支援を行っています。

数あるアリスの会の支援の中に、成年後見制度利用支援というものがあります。
少子高齢化社会で、ますます生涯未婚者が増えていくこの令和時代ですが、それにも関わらず、日本の成年後見制度についての認知度はまだ十分とは言えません。

そこで今回は、日本の法制度について少し深堀りして、任意後見と成年後見という二つの制度について、初めての方に向けて分かりやすく解説します。

後見制度とは何か

まず、後見制度について簡単に説明します。

これは、本人が自分で意思表示をできなくなった時、あるいは判断能力を失ったことにより財産管理が難しくなった時、他の人がその代わりに手続き等をするための法律的な枠組みです。

この制度は、主に認知症の高齢者や重度の障がいを持つ人に適用されますが、未成年者などに対して適用される場合もあります。

では、任意後見と成年後見の違いは何でしょうか?
一言で言えば、それは「本人の意思」の有無です。

それぞれの制度を詳しく見ていきましょう。

任意後見について

任意後見は、本人が意思表示できるうちに、将来判断能力を失った時に備えて、事前に自分で後見人を選び、後見契約を結ぶことができる制度です。

この契約は公証役場で行われ、公証役場が契約書の保管を行います。

たとえば、認知症になる可能性のある高齢者が、将来的に自分の意思を適切に表現できなくなった時に、財産の使い道や生活についての決定を任意後見人に委ねることができます。

この場合、本人が意思を持って事前に準備をすることが可能です。

任意後見のメリット

①自己決定

任意後見制度を利用すると、本人が自分の意思で後見人を選び、契約の内容を決めることができます。

そのため、自分がどのようなサポートを受けるかを、自分自身で決定することができます

②事前準備

病気や事故によって急に自己決定能力を失った場合でも、任意後見制度を利用していれば、事前に指定した後見人が適切なサポートをしてくれます。

これにより、家族や親しい人々に負担をかけずに済むことがあります。

③安心感

自分が後見人に任せたい事務を事前に明確にしておくことで、将来的に自分が自己決定できなくなったときでも、自分の意志が尊重されるという安心感が得られます。

任意後見のデメリット

①契約の固定性

任意後見契約は公証役場で公正証書として作成され、一度結んだ契約は変更するのが難しいです。

したがって、後見人との関係が変わった場合や、状況が変わった場合でも、契約を変更するのは一定の手間とコストがかかります。

②信頼性の確保

任意後見人を選ぶ際には、その人が自分の意思を尊重し、責任を持って行動してくれることを信頼する必要があります
しかし、未来を予測することは難しく、長い時間が経つと状況が変わる可能性もあります。

③費用

任意後見契約を結ぶためには、公証役場での手続き費用や、後見人に対する報酬など、一定の費用が必要になります。


以上が任意後見制度のメリットとデメリットです。

自分自身の生活状況やニーズにより、どちらが適しているかを考えてみてください。

そして、自分の意志が尊重され、自分自身の生活と財産が適切に管理されることを確認しましょう。

また、後見制度については、専門的な知識を持つ弁護士や司法書士などの専門家に相談することも重要です。
自身の状況を詳しく説明し、専門家の意見を聞くことで、自分に最適な選択をすることが可能になります。

最終的には、自分自身の生活状況やニーズ、そして将来の予測を踏まえて、任意後見制度が適切か、それとも他の制度が適切かを判断することが重要です。

そして、その選択を通じて、自分自身の生活と財産の適切な管理を確保しましょう。

成年後見

一方、成年後見は、本人がすでに意思表示できなくなった場合、または自分自身の財産を管理できなくなった場合に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。

たとえば、認知症が進行して正しい意思表示ができなくなってしまった高齢者や、重度の障がいを持つ成人などに対して、家庭裁判所が後見人を指定し、その人の生活や財産管理を行います。
この場合、本人の意志が問われることはありません。

成年後見のメリット

①保護の強度

成年後見制度は、本人が自己の意思を明確に表現できなくなった場合、または自分自身の財産を管理できなくなった場合に適用されます。

裁判所が後見人を任命することで、後見人は本人の生活や財産管理を法律的に保護します。

例えば、判断能力を失った本人が訪問販売で不要なものを購入してしまった場合、成年後見人であれば取消権を行使することができます。
(※判断能力を失った人の消費者被害も深刻なものです。また後日、別の記事で取消権については詳細をお伝えします。)

②専門性

成年後見人は、しばしば法律や福祉関係の専門家(弁護士、司法書士、社会福祉士など)が担当します。

そのため、適切な法的知識と経験を持つ人が後見人となることが多く、適切な判断と行動が期待できます。

③中立性

家庭裁判所が任命する成年後見人は、本人との関係性に左右されることなく、本人の利益を中立的に保護することが求められます。

これは、特に家族間で意見が分かれるような場合に有益です。

成年後見のデメリット

①本人の意志の尊重

成年後見制度は、本人が自己の意思を明確に表現できない場合に適用されるため、本人の意志が必ずしも尊重されるとは限りません。

後見人は本人の利益を保護するために行動しますが、それが必ずしも本人の意志と一致するとは限りません。

②手続きの複雑さ

成年後見制度を利用するためには、家庭裁判所に対する申し立てという手続きが必要です。

これは専門的な知識を必要とするため、一般的には弁護士などの専門家の助けを借りることになります。

③費用

成年後見人になるための裁判所の手続き費用や、成年後見人に対する報酬など、一定の費用が必要です。


以上が成年後見制度のメリットとデメリットです。

成年後見制度を適切に利用すれば、本人の生活や財産を保護し、その人が安心して生活できる環境を提供します。

それぞれの状況やニーズに応じて、成年後見制度が最適な選択かどうかを慎重に考慮しましょう。

そして、最終的な選択は専門家の助けを借りて行うことをお勧めします。

これにより、自分自身の生活と財産の適切な管理を確保し、将来に向けて安心して準備を進めることができます。

まとめ

以上が任意後見と成年後見の違いです。
要点をまとめると以下の通りです。

・任意後見は、まだ自分の意志を明確に表現できる段階で、自分が後見人となってほしい人を指定し、将来的な後見契約を結ぶ制度です。

・成年後見は、すでに本人が自己の意思を明確に表現できなくなった場合、または自分自身の財産を管理できなくなった場合に、家庭裁判所が後見人を選任する制度です。

・いずれの制度も、認知症や障がいが原因で自分の意思を表現できなくなった人が、生活や財産を適切に管理するための手段を提供しています。
しかし、それぞれの制度の適用状況は異なります。

最後に

後見制度は人々の生活を大きく左右する可能性があるため、利用する際には法律的な知識を持つ専門家と相談することをお勧めします。

また、予め適切な準備をしておくことで、自分の意志が尊重され、自分自身の生活と財産が適切に管理されることを確保することができます。

アリスの会では、後見制度について各種専門家と連携してサポートを行っております。

「後見制度について相談したい」という方は、ぜひ一度お問合せください。

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